前回記事ではオープンリールデッキの録音・再生システムを復活させました。10号リールのクランパを喪失しているので10号リール38速度の音は聴けてないのですが、7号リールに収録されていたエアチェックソースの音質の良さには30年以上経過していると思えないレベルで感銘を受けました。

⇒前回記事:「自作オーディオ・オープンリールデッキの復活

 今回はカセットデッキを復活させました。結局やりかけて完遂できていないのですが、高音質の屋外カセット録音システムを組もうとして中途半端に仕上がっている自作デッキとアジマス調整時など音響リファレンスとして購入当初のまま改造せず純正の状態でメンテしている SONY TC-K555ES II を所有しています。
IMG_9671
 こちら棚に2段になっている下の機器は前回復活のオープンリールデッキ用録音・再生アンプです。上の機器が今回復活のカセットデッキ用録音・再生アンプとメカ(メカニズム:カセットを装着するところ)です。
IMG_9674
 このメカはおそらくポータブル卓上型カセットテープデッキの中古部品取りで、秋葉原で売っていたものを購入しています。30年以上前はこのような部品取りの中古パーツが秋葉原のあちらこちらの店舗で売られていました。そのメカの録音・再生ヘッドを、別で買った中古パーツのアモルファスヘッドに交換しています。
IMG_9675
 このときは、何を思ったのかアンプ基板はガラスエポキシ素材の基板をエッチングして作っています。たぶん、パターンは油性ペンで手書きだったのではないかと・・・。手間かかってます。左が再生アンプ、中央が録音アンプ、右の下半分が電源部になります。右の上半分はLED音量メータの回路です。屋外に持ち出すため、乾電池直列6本9Vを電源部の超高速DC/DCコンバータによりプラス・マイナス18Vの電源を生成してアンプに供給しています。
IMG_9676
 録音・再生アンプは、無線と実験1987年12月、1988年1月号の金田式DCアンプを参考にして製作しました。
IMG_9678
 こちらも、オープンリールデッキの録音・再生アンプ製作の時と同様、モーター駆動制御をPLL技術を使って自作する内容です。超高速DC/DCコンバータは、この回では製作しておらず別の回で製作しているようなのですが、その回の金田式DCアンプ記事がある雑誌は行方不明です。。。
IMG_9677

 次に音響リファレンスとして購入したテープデッキ SONY TC-K555ES II について。
 この機器、1984年代発売当時はシリーズの中堅機としての位置づけでした。オーディオ雑誌では、まさにリファレンス機として広く認知されているモデルです。以前はAKAIのオートリバーステープデッキをリファレンスとして使っていたのですが、故障してしまい、これを中古で入手したのは、その後になります。
 AKAIのオートリバーステープデッキは、故障を直そうとしたのですが、オートリバース故に機構が複雑で、かつ走行系が故障しやすい構造でしたので、直すことはあきらめました。TC-K555ES II は機構が同シリーズの各世代の中では比較的シンプルで、このモデルの前後世代を含めたシリーズの中で構造上もっとも故障しにくく、メンテしやすいモデルなのではないかと思います。
IMG_9673
 内部の基板の部品配置は見た目で美しいです。設計者のこだわりが感じられます。このモデルは電源トランスが外に飛び出しているのが特徴です。左右がシールド部屋で仕切られていて、左部屋が録音・再生アンプ部、右部屋がメカ/制御系/電源部となっており、信号経路を最短にする回路配置が配慮されており、ノイズ対策が徹底しています。
IMG_9667
 左部屋の右側が録音アンプ、左側が再生アンプ、各アンプは左右対称となっており、中央のICは右用、左用でICのピン配置を左右対称にする徹底ぶりです。
IMG_9668
 右部屋の上の方がメカで、キャプスタン用ダイレクトドライブモーターとリールドライブ用DCモーターの2モータードライブ構成です。このモデルでこの構成は完成され、これ以降のモデルではオートリバース化に伴いドライブ構成が複雑になってしまいます。
 下の方が制御部/電源部、右に縦になっているのが電源部です。部品(特に電解コンデンサー)には、左部屋含めて随所にオーディオ用のものが使用されているのがわかります。アンプ以外の制御部、電源部もオーディオ用を使用する徹底ぶりです。
IMG_9669
 右部屋の、右に縦実装されている電源部。
IMG_9670
 久々に動かしましたが、動作、音質共にまったく問題ありませんでした。


カセットデッキ仕様

メーカー:SONY、ソニー
型番:TC-K555ES II
ヘッド:再生ヘッドx1、録音ヘッドx1、消去ヘッドx1
モーター:リニアBSLD.D.モーターx1、DCモーターx1
SN比:56dB(EIAJ)、60dB(Dolby off、ピークレベル、メタルテープ)、73dB(Dolby NR C)
周波数特性:20Hz~19kHz ±3dB(EIAJ、メタルテープ)
周波数範囲:15Hz~20kHz(EIAJ、メタルテープ)
ワウ・フラッター(EIAJ):±0.04%Wpeak、0.025%WRMS
歪率:0.5%(EIAJ)
電源電圧:AC100V、50Hz/60Hz
外形寸法:幅430x高さ105x奥行330mm
重量:6.6kg
価格(1984年発売):99,800円


2024年2月15日(木)


 SONY TC-K555ES II ですが、ヤフオクでジャンクものが安く入手できるようなので、落としてみました。故障している前提で、今所有している SONY TC-K555ES II 修理の際の部品取りとして入手しました。煙草ヤニのような汚れが全体的に付いていたので、アルカリイオン水できれいにしてから天板、底板を開けて・・・
IMG_9765
 動作確認してみると、ヘッドホンのボリュームにガリがあり、再生時にヘッドが上がり切らないようです。写真右側のソレノイドがちょっとしか動いていないように見えます。固着しているのかもしれません。
IMG_9766
 ヘッドユニットを外して、手でヘッドの上げ下げをして固着を解消してみたら、ソレノイドが動くようになりました!
IMG_9768
 ということで、簡単に直ってしまい、ヘッドホンボリュームのガリはまだ残っていますが動作品が2台に・・・
IMG_9769